コーチングが紛らわしいのには理由がある

「コーチング」という言葉は聞いたことがあるけれどなんだかよくわからないという話を聞きますが、どうしてだと思いますか。

スポーツコーチのコーチングとビジネス/ライフコーチのコーチングは全く違う

日本で私たちが馴染みのある「コーチ」はスポーツのコーチです。学生のころスポーツのクラブに所属した人はコーチというのはスポーツを指導するイメージですよね。だから、「コーチング」はスポーツのコーチが指導するのと同じようなことをするものだと想像するのだと思います。ですので、「コーチング」とは「指導すること」と思っている人が少なくないと思います。
しかし、私たち国際コーチ連盟認定のコーチがしているコーチングはスポーツのコーチとは全く違い、「指導」は一切しないのです。

では何をするのかというと、「質問することで、気づきを与え、前に進めること」をするのです。つまり、「指導する」のではなく「質問する」が私たちのすることで、その質問にクライアントが応えることでクライアントが前に進むことができるという、その「質問力」がスポーツのコーチとは全く違うところなのです。

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日本に存在する2つの種類のコーチング

コーチングが紛らわしいのは、さきほどのスポーツコーチのような教えるタイプのコーチングと、私たちが行っている質問することでクライアントを支援するコーチと2つのタイプのコーチングが存在するからです。

例えば、「英語コーチ」と私のサービスの「英語deコーチング」を比べてみると、英語コーチと名乗っているコーチのコーチングは一般的に、英語を教えて英語力アップを目指すコーチングのように見受けられます。しかし、私の行っている「英語deコーチング」というのは、コーチングを英語で行うもので、英語を教えるコーチングではありません。英語は単なるツールで、日本語でもかまわないのですが、敢えて英語の特性を活かして英語で行うコーチングなのです。

つまり、英語コーチングは英語の指導を目的としており、「英語deコーチング」はクライアントの気づきと成長を目的としています。ですので、英語は基本的に教えません。クライアントから質問があったら教えることもあるという程度です。なぜなら、いいたいことが伝わればかまわないからです。英語が間違っていても私の質問に答えて、私に伝わればコーチングは成立します。

他の例えでは、「成功コーチング」というコーチが2人いるとします。一人は成功についてのノウハウを教えるコーチ。そして、もう一人は成功を目標設定にしてコーチングをするコーチ。私たちICF認定コーチは言うまでもなく後者をコーチングと考えています。

私はアメリカの大学院のエグゼクティブコーチングプログラムで、物事のフレームを教えることは「コーチング」ではなく「ティーチング」。そして、専門知識を教える人は「コーチ」ではなく「コンサルタント」であると学びました。ですので、「英語コーチ」はと大学院の学びでいうと「英語ティーチャー」、そして、成功のハウツーを教える「成功コーチ」は「成功コンサルタント」のカテゴリーに属します。

間違えて欲しくないのは、私はノウハウを教えるコーチを否定しているわけではありません。コーチがノウハウを教える講座やクラス、研修はたくさんありますし、私もクラスや研修を行っています。ただ、国際コーチ連盟の倫理規定の中で、コーチングの部分と、コンサルタントの部分、ティーチングの部分は明確にクライアントに分かるように説明しなければならないとされていますので、「コーチング」と「ティーチング」「コンサルタント」がまざって理解されるのは、私たちの責任でもあるのです。ですので、私たちコーチは私たちが分かっているだけではなく、クライアントに理解を促さなければなりません。

かつて私がついていた「コンサルタント」がいつの間にか「コンサルタント&コーチ」と名乗っていました。このような状況がますます日本の「コーチング」を紛らわしいものにしています。日本に「コーチング」の意味が正しく知れ渡るには私たちコーチの努力にかかっています。ですので、私たちは「コーチング」が何であるのかを根気よく説明する責任があると思っています。

2016年3月21 日

コーチングインターナショナル

ビジネス&パーソナルコーチ

荒木まさえ